海面を割って、突如として現れたかのようにそそりたつ段崖。その周囲を荒波が取り囲む。
その島はまだ船でしか渡れないところ。「渡難の島」と言われたという。
それが、「どなん」と呼ばれる由縁になったという与那国島だ。
未だにそこには人と動物が共存する。
観光地化されてない沖縄の、安らぎの光景が広がっていた。

飛行機が与那国島への最終着陸姿勢に入った時、ふと窓の外を見て思わず目を見張った。
そこは、まるで海面が一気に下がって島が忽然とその岩肌を現したかのように、断崖絶壁が島の周囲を形作り、その上面に鮮やかな緑の絨毯が敷き詰められている。

与那国島で意外だったのは、西表島にも負けず劣らず、緑が豊かだということ。
蒼々とした亜熱帯の緑が島を包み込む。
そしてその緑と完璧なまでに美しいコントラストを描く海。

(「島へ。」より)
* Nikon D40x CPL